分かりやすい泌尿器科の話@ 尿路結石症
森医院 院長 森 啓高
今後数回にわたりまして、わかりやすい泌尿器科のお話をさせていただきます。「泌尿器科」を身近に感じていただけましたら幸甚です。
1. 胆石とはどう違う?
胆石も尿路結石も腹痛をおこしますが、胆石は胆汁(肝臓でつくられます)からできます。主成分はコレステロールやビリルビンです。
尿路結石は尿(腎臓でつくられます)から形成されます。主成分はシュウ酸カルシウムやリン酸カルシウムです。時に尿酸も成分となります。薬物が原因のものもまれに認められます。
血尿、腹痛が典型的な症状です。腹痛も腎臓や尿管の走行にそって、左右のわき腹から下腹部に生じます。時に頻尿をきたすこともあります。
小さなものは自然に尿とともに排石するのを待ちます。排石されないものはしばしば積極的な治療が必要となります。
一昔前はお腹を大きく切開する手術が主流でした。1982年に当時の西ドイツで体外衝撃波砕石術(ESWL)がはじめて行われて以来、ESWLが治療の第一選択となりました。ESWLとは、衝撃波を出す装置を結石付近の体表にあてて、そこから出る衝撃波を結石だけに集中させるものです。体にメスを入れることはありません。
もちろん大きさや位置によって、背中に開けた小さな穴や尿の出口から内視鏡で石を取り出す手術が優先されることもあります。
尿路結石の痛さを経験した方ならもう二度とあの痛みはごめんだと感じておられることと思います。食事で予防する方法はあるのでしょうか?
残念ながら現時点で決定的なものはありません。まずは飲水をお勧めしています。一日尿量を2000cc以上にするようにガイドラインでも勧められています。水、ほうじ茶、麦茶がよいでしょう。以前はビールを勧めることもありましたが、尿中の尿酸排泄が増えるため、尿路結石には好ましくありません。
食事で結石の促進因子と考えられるのは
@ 動物性たんぱく質の取りすぎ
A 食塩の取りすぎ
B 脂肪の取りすぎ
です。これは他の生活習慣病(高血圧、糖尿病、心臓病)にとってもよくないものばかりです。薄味で、野菜を意識して多めに取る食事を心掛けましょう。